とんかつを揚げるコツ
昔 四谷に
「とんかつ」の名店がありました
そのお店は小さなビルの二階にあって
七十歳代のご夫婦が営んでいました
席はカウンター席だけで
六人座れば満席になりました
ご主人の揚げる「とんかつ」は
この道一筋の味がありました
美味しいとんかつを揚げるコツは
音だそうです
出来上がりを待つ
「とんかつ」が出来るまでの時間
音を楽しみました
「とんとん」と肉を叩く音
「じゅー」「ちりちり」と
油が弾ける音
「さくっ さくっ』と肉と衣が切れる音
いよいよ
待ちに待った
「とんかつ」が運ばれてきました
きつね色の「とんかつ」と
山盛りのキャベツ
一口食べて 思わず うなり
心の中で『うまい!』と叫びました
お彼岸に よみがえる
お彼岸の三連休
私は 何かに引き寄せられるように
四ツ谷駅で降りて
かつて とんかつ屋があったビルに向かって
歩いていました
とんかつ屋のビルに近づくと
20人くらいの人が並んでいました
どこかで見たことのある人ばかりでした
『あ! とんかつ屋の常連さんたちだ』
ということは・・・
私も並んでみることにしました
あの絶品の「とんかつ」が食べられると信じて