わさび飯

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趣味

小料理屋で雨宿り

友人のお通夜の帰り道

突然 雨に降られて 

小料理屋で雨宿りをすることになりました

暖簾をくぐると

ご年配の女性に 笑顔で

「大変でしたね どうぞ どうぞ」と

四人掛けのテーブル席に案内されました

小料理屋は カウンターに四席と

四人掛けのテーブルが一つの

こじんまりとした作りでした

席に着いて おしぼりを手に

何を頼もうかと考えていたら

お通しに 野菜の煮物が出てきました

一口食べて 美味しいと思いました

ごぼうの苦味と歯ごたえが抜群でした

「ごぼう 美味しいですね」と言ったら

女将さんは「ありがとうございます」

「ごぼうは たわしでよく洗って 

少し太めに切っていただくと美味しいですよ

表面を包丁で削いだりしたらだめですよ」と

教えてくれました

女将さんの話によると

調理場にいるご主人は

七十歳を過ぎた今でも

二千八百メートルを超える山に登り

山頂からの景色や

下山後の温泉を楽しんでいるそうです

わさび飯を勧められ

帰り際に わさび飯を勧められ

いただくことにしました

そういえば 亡くなった友人に

近所に わさび飯の旨い店がある話を

聞いたことを思い出しました

「病みつきになるよ」

「つーんとくるのが たまらないから」

ひょっとしたら このお店なのかもしれません

出てきた わさび飯

出てきたわさび飯は 白米の上に

削り節がかかっていて

中心に百円玉くらいの大きさの

すり下ろしたわさびが のっていました

食べ方は いたってシンプル

玉子かけご飯のように

お醤油をかけて 適当にかき混ぜて 食べる

私は パクリと食べた後

思わず「うまい」と言ってしまいました

その後 少し鼻につーんときました

カウンター席に座って静かに飲んでいた男性が

ゆっくりと振り向いて

私に話しかけてきました

「なっ 俺が言った通り 旨いだろ」

私は恐怖のあまり 

言葉に なりませんでした

「アワ アワ アワ アワ」