緑色の猫

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生活

晩御飯の駅弁

品川駅で降りた時

よく駅弁を買っていたのを思い出し

晩御飯は駅弁にしようと思いました

橙色の西日を まともに浴びながら 

近所の交差点で信号待ちをしていたら

背丈が私の腰くらいの高さの

緑色をした猫が私の隣に立っていました

緑色の猫は胸を張り

背筋を伸ばし

英国の紳士のように

きりっとした姿勢でした

私があまりにも じっと見るものですから

緑色の猫も

気になったのか

何度か横目で私を見てきました

信号待ちの時間は長く

私の周りの人たちは

私の隣に立っている

緑色の猫のことは

全く気にする様子もなく

平然としていました

信号がようやく青に変わったので

横断歩道を渡っていたら

私は左手に持っていたはずの

駅弁を持っていないことに

気がつきました

「何処に忘れてきたのだろうか」と

曖昧な記憶を辿っていたら

私の隣を歩いていた緑色の猫が

「あのー」と話しかけてきたので

私は肩が浮き上がるくらい

びっくりしました

「え 何か?」

「あなたに似た人が あなたを追いかけています」

「私を?」

緑色の猫が 後ろを何度も指差すので

振り向くと

私にそっくりな人が

右手を振りながら 

左手に駅弁を持って

凄いスピードで走ってくるのでした

「危ない!ぶつかる!」と思っていたら

本当にぶつかってしまい

私は衝撃で意識を失いかけましたが

何とか堪えました

ふらふらな私でしたが

何故か左手には駅弁を持っていました 

不思議な気持ちでしたが

駅弁が戻って来て ほっとしました

以前は私の周りで起きていることは

全てが現実だと思っていたのですが

最近は幻覚が入り込んできて

私の周りで起きていることが

少々ややこしくなってきました